好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「なら、真紅の血を吸った直後くらいには黎はもう、鬼人でも吸血鬼でもなくなっていたんだろう。今見ても、徒人(ただびと)と変わりない。な? 白」
「ああ……今の黎明のから、鬼性は感じられない。妖異はまだ視えるだろうが、霊感の強い人間と、そう大差ないだろう」
黒藤と白桜の言葉を聞いて、真紅は黎と顔を見合わせた。
「黎……人間に、なったの……?」
黒藤が再び問いかける。
「真紅を、血を欲した者の傍にいて、その血を求める気はないんだろう?」
「あ、ああ……でも、そんなことって……」
「有りえないことがないかもしれないのが、世界だ。真紅。本当にもう心配ないよ。黎は人間になって、真紅の血による命の心配はなくなった。――共に生きること、叶うぞ」
言いよどむ黎を制して、黒藤が言った。微笑とともに。
共に、生きる。
「……きんせいし、たてまつる」