好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「真紅んとこ行くか。せっかく助けた黎明のを、紅緒様に殺されちゃ可哀想だ」


「……悪いな」
 

紅緒の乱入で一気に疲れが出て来た白桜と黒藤は、小埜家への話は終わりだと立ち上がった。


「若君――」


「翁。今話したことが今回のことです。言いましたが、黎の処遇は決まり次第教えてください。

母上の回復、始祖の転生等等は、十二家へは本家から通達がいくでしょう。

……患者さんたちに迷惑をかけないうちに母上を連れて帰りますので、今日はこれで」
 

あの紅緒の勢いで叫び廻られては、病院という場所の意味がない。


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