好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


あまりな姉妹のやり取りに、白桜黒藤、揃って入り口から動けなかった。


室内では何故か、床に正座した真紅と黎、そして向かいに座した紅緒と紅亜がいた。


更にどうしてか、真紅は黎の腕に抱き付いている。


((ど、どういう状況だ……⁉))
 

当代きっての陰陽師の二人が状況を理解出来ずに困惑していた。


すると二人に気づいた真紅が、助けを求めるような視線を向けて来た。


ちょ、ちょっと待ってくれ、と、困惑の白桜は真紅に向けて片手をあげた。


そして黒藤に囁く。


「おい黒。なんで激昂してるのが紅緒様で、紅亜様が黎をかばってるんだ?」


「全然わかんねえ……。母上はもともと激しやすい人ではあったけど……」


「突拍子のなさがお前以上だな」


「その言葉が最早俺への褒め言葉に聞こえるくらいひでえな、母上は」
 

こそこそと会話する二人。紅亜と紅緒の攻防は続く。

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