好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「大体ねえ紅緒。鬼神であった鬼の頭領を連れて来て結婚したあなたが、真紅ちゃんの相手に文句をつけられると思うの? 父様も母様もどれだけ反対していたと思うの」


「「え?」」
 

項垂れ気味だった真紅と黎が、同時に顔をあげた。


鬼神? 鬼の頭領? 黒藤は小さく呟く。


「紅亜様は知っておいでだったか……」


と、頭痛でも覚えたように額を押さえている。


紅緒はキリッとした顔で答える。


「姉様、わたくしのことは今、関係ないです」


「関係あるわよ。真紅ちゃんと黎くんのことを反対してるの、紅緒だけよ? その当人の立場を突き詰めるのは当然のことでしょう」


「~~~姉様は本当に頑固なんだから……」


「あなたの姉なんだから仕方ないと諦めなさい」
 

その言葉には、紅緒は反論しなかった。


白桜と黒藤はこそこそ話す。

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