好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「おい、紅緒様が言い負けたぞ」
「紅亜様のお姉さん感がハンパないな」
いつの間にか白桜も傍観者を決め込んでいた。
「………」
黎の腕に抱き付いている真紅が、泣きそうな顔で白桜と黒藤を見て来たので、二人は仕方なしにそろりと歩み寄った。
「真紅、何があったんだ?」
白桜が小さな声で尋ねると、真紅は震える声で答えた。
「紅緒様が飛び込んで来て……私が黎に膝枕してたら、いきなり黎のこと投げ飛ばして、摑みかかったとこへママが来て紅緒様を止めてくれたの……」
「……投げ飛ばされたのか」
と言うことは……
「真紅? お前の母は二人いるのか?」