好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


海雨のことだから、いつ、どこでどんな状況で――と話を掘り下げてくるだろう。
 

そうしたら言える言葉がない。
 

もう逢えない人なのだと。
 

どこにいるかも知らない人なのだと。


「え」
 

思わず声を出してしまった。
 

すれ違った人がいた。


「れ」
 

背中しか見えない。でも、
 

――追いかけた。

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