好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
「黎」
澪は名を呼んだ。
「ん?」
黎は眼鏡を押し上げ応じた。その奥の瞳は黒い。
さっきまでぼけーっと書類を見ていたけれど、今ははっきりしている。
「ねえ黎。何かあった?」
黎の様子がおかしい。
澪は昨日、黎に血をやった。
しかし黎は澪の血が気に召さないらしく、吸血のあとはいつもふらりと消える。
今まではただ時間潰しだったと祖父も澪も見逃して来たが――
「なんも」