好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】


「黎」
 

澪は名を呼んだ。


「ん?」
 

黎は眼鏡を押し上げ応じた。その奥の瞳は黒い。
 

さっきまでぼけーっと書類を見ていたけれど、今ははっきりしている。


「ねえ黎。何かあった?」
 

黎の様子がおかしい。
 

澪は昨日、黎に血をやった。
 

しかし黎は澪の血が気に召さないらしく、吸血のあとはいつもふらりと消える。
 

今まではただ時間潰しだったと祖父も澪も見逃して来たが――


「なんも」

< 80 / 447 >

この作品をシェア

pagetop