もう一度、名前を呼んで2
「ねえ,龍毅は何で鳳狼にいるの?」
「…なんで所属してんのかってことか」
「うん」
それに,幹部だ。こんなふうに真剣な一面があるから幹部になったんだろうか。それは希望してなるの?
「…俺は,中学んときに家出して繁華街で先代の幹部たちに拾われた。ボーっとしててぶつかって喧嘩吹っ掛けたんだけど,瞬殺されてな。そしたらぶん殴ったくせに一緒に来るか,って聞いてきやがって…まあ家になんか帰りたくなかったし,別にどうなってもいいかって思って倉庫についてったんだよ。そっから」
へえ。
「家が嫌だったから先代んちに入り浸ってたし,高校入ってからは昂太んちとか誰かんちと倉庫で生活してんな」
「え,そうなんだ」
あたしはいつも誰かに家まで送ってもらうし,あたしが倉庫に泊まるときはみんなも泊ってるから知らなかった。
龍毅みたいな人は他にもきっといるんだろうな。
「昂太とは幼馴染なんだっけ?」
「まあな~あいつずっとこっちで生活してんのにまだ関西弁抜けねえんだよ」
「関西弁」
あの独特の話し方か。最近テレビを見るようになってやっとわかった。
「あいつの両親が関西弁だからな」
「昂太のパパママとは仲良いの?」
「…まあ」
そっか。
「……パパママと仲良くないのって,寂しくない?」
「はあ?」
何バカなことを,とでもいうように龍毅は視線をこちらに向けた。
だって…
「普通の人たちは親と仲いいんだって。悠唏だって結構普通でしょ…」
「普通ってなんだよ。暴走族なんかに所属してる奴が親と仲いい方がキモイだろ」
「そうかな」
「しかも悠唏の親はOBだろうが」
「え,そうなの?OBって鳳狼の?」
「おめー知らねえのかよ」
「知らない…」
そうだったんだ…
何も知らないなあ…
ってあれ?聖さんが鳳狼のOBってことはもしかしてウチのパパもそうだったりするのかな…
「ねえ,ウチのパパもOB?」
「いや俺お前の父親とか知らねえし」
「藤宮風斗…」
「カザトさん?そりゃ昔の総長にいるな」
「まじで……」
え,そうだったの?悠唏は知ってるのかな。知ってるよねきっと
「知らなかった…」
「ま,自ら進んで話さねえだろ」
龍毅はそう言ったけど,そういうものなのかな。
あたしが全然何も聞かないからだったりするのかな。