もう一度、名前を呼んで2
「俺もコテージで寝りゃあ良かったぜ,悠唏もそっちにいんだろ」
「あはは,悠唏遅いね~どんだけ寝るつもりなんだろ」
「せっかく海に来たのに…」
それに理流もいない。どこ行ってるんだろ?
「ねえ,理流は?」
「理流はこっちが地元だから人に会いに行ってるんじゃないかな。昼過ぎには戻ってくると思うよ」
こっちが地元?そうだったんだ。学校がある地域からそんなに遠いわけじゃないけど学区?とかいうのが違うらしい。今は一人暮らしだとか。
「おーいクソ女!ボールそっち行った!」
「は!?」
なに!?急に暴言が聞こえたんだけど!?
声からして舜くんだろう。なんであいつはすぐクソとか言うのかな!
転がってきたのはバレーボールで,ビニールじゃないちょっと硬めのガチなやつ。ヤンキーってスポーツマンなの?こんな硬いのでやってたんだ…
「藍那ちゃんいっておいで。あいつアレでたぶん一緒に遊ぼうって言ってるんだよ」
「え,あれで?暴言じゃないの?」
「ふふ,たぶん精いっぱい誘ってるんだと思う」
「天邪鬼もあそこまで行ったら損じゃない…?」
「やんわり教えてやって。女嫌いのくせに藍那ちゃんのことが気になってしょうがないみたいだから,藍那ちゃんが言えば何か変わるかも」
うーん…しぶしぶ立ち上がってみんなのほうに行ってみることにしたけど,あたしなんかに何ができるだろう
舜くんが何で女嫌いなのかとか知らないし,そもそも嫌われてるのに率先して仲良くしようとするタイプでもないし…
「藍那ちゃん,そっからサーブだ!」
いつの間にか簡易コートのところまで来ていたらしく,鳳狼メンバーに声をかけられてハッとした。
「サーブ!?あたしバレーとかやったことないよ!」
「ギャハハハマジかよ!なんとなく真似でいいって!」
真似でいいって言われても!
「ううう…」
困ったけどしょうがないからさっきまで見ていたみんなを真似するつもりでボールを上にあげて叩いた。
「うおー!いいサーブ!」
運よく相手コートに飛んで行ったらしい!やった!
「返ってきたぞ!」
「えっちょっと待ってそんな速く動けない!」
2歩踏み出せば届く……というところに飛んできたけど動けなかった。砂がヤバイ。足とられる。
「ぎゃふっ……」
「……」
「……」
「ギャハハハハハハ大丈夫かよ藍那ちゃん!」
必死に腕を伸ばしたけど届かなかったあたしは,見事にそのまま顔から倒れた。
「うえ…」
顔は砂まみれだしパーカーも砂まみれだし…
「ギャハハハ」
「笑いすぎ!!!!!」
クッソー悔しい!絶対同じ目に合わせてやる!
「かかってこいやぁぁ!!!」
「うおー!いいぞー!!!」
パーカーの袖をまくり上げて,闘争心満々で立ち上がった。