もう一度、名前を呼んで2
「普段はあんま喋んねえし近寄りがたいから下のやつらも委縮すんだろ?倉庫にいるときは幹部室にばっかりいて姿見せねえし,出てきたかと思ったら集会やら全体への指示やらで余計そのカリスマ性で下のやつらが目ぇキラキラさせてんの」
舜くんがそんなふうに言う。
あたしはいつも一緒にいるから,きっとメンバーが見てる悠唏を知らない。集会だってあたしは出ないし,みんなに指示を出してる悠唏だって知らない。
「でも弱いとこを隠したりしねえし,下のやつらに頭下げたりする総長今までいなかったし,普段あんま笑わねえからなおさら笑った時に感動すんだよな~」
「ほんとあいつ笑わねえよな」
「表情筋死んでるのかと思ってたよね」
「俺が初めて会った時から何回かしか笑ってるとこ見たことねえもん」
「笑ってるのどころか大声出してんのも集会の時以外ではレアじゃない?」
「キレるときもしずーーかにキレてるもんな」
「お前が来てから,なんかちょっと変わった気がする」
「へ?」
舜くんにじっと見られながらそう言われ,思わず間抜けな声が出た。
「だから下のやつらもあんな風にできるようになったんじゃねえの」
「そうかな…」
「幼馴染なんだろ?」
「うん」
「そういやさ,あの雨の日。あんときが初めてだよな?俺らと会ったの」
そうだ。あたしが日本に帰ってきて間もないころ。あの日に悠唏と再会して,悠唏は幹部のみんなと一緒にいたんだ…
「アイツが急に女の腕掴んだ時はビビったよなぁ?」
「そーそー,ほんとビックリしたよ」
「なんで女なんかに声かけるんだよ,って思った」
「舜の女嫌いはワガママだよな」
「うっせ」
「まだダメなのかよ」
「舜,藍那ちゃんも嫌なの?」
「う……こいつは…まあ…」
あれ?あたし舜くんに嫌われてないの?
「嫌いだったら話さねえし」
「素直じゃないなぁ~!藍那ちゃん,これでも舜にしては大きな進歩だから許してやってね」
「え,うん…全然良いよ」
「…嫌いじゃ,ねえよ。別に。お前はキーキーうるさくねえし」