クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「グレーテ様」
「どうしたの?」
また弱音を吐くつもりだったらどうしよう。
少し警戒しながらヘルマンに目を向けると、彼は思いの外しっかりした顔をしていて、更に声を潜めて言った。
「ここの場所なんですけど、ベルツ北方のヒースター辺りじゃないでしょうか」
「え……どうして分かるの?」
驚く私に、ヘルマンが言葉を選ぶように、ゆっくりとした口調で答える。
「静かにしていると風の音が聞こえて来ませんか? ちょっと耳触りな高い音です。俺、父上について、ベルツ家か管理する地域を一通り視察したんですけど、気候が穏やかなこの地域で、こんなに強い風が吹くのってヒースターくらいだったと思って……」
私は耳を澄まし、部屋の外の音を探る。
確かに微かだけれど、風を切る高い音が聞こえる気がする。
「凄い! よく気付いたわね」
「い、いえ……グレーテ様のお役に立てたのなら良かったです」
表情を和らげるヘルマンを横目に見ながら、頭の中でこの地域の地図を思い浮かべる。
ヒースターはベルツ家の屋敷からそれ程距離がない。歩いて行けば半日程はかかってしまうけれど、途中に危険な地形も無く、乗り物が手に入らなくてもなんとか帰ることは出来そうだ。
良かった。まるで何も分からなかったところから、僅かだけど前進した。
少しほっとしながら、もう一度の風の音を聞こうと耳を澄ましていると、思いがけない音が聞こえて来た。
「ねえ、足音が聞こえない?」
耳が良さそうなヘルマンに確認する。
微かな足音が、段々と大きくなって来ている気がする。
「どうしたの?」
また弱音を吐くつもりだったらどうしよう。
少し警戒しながらヘルマンに目を向けると、彼は思いの外しっかりした顔をしていて、更に声を潜めて言った。
「ここの場所なんですけど、ベルツ北方のヒースター辺りじゃないでしょうか」
「え……どうして分かるの?」
驚く私に、ヘルマンが言葉を選ぶように、ゆっくりとした口調で答える。
「静かにしていると風の音が聞こえて来ませんか? ちょっと耳触りな高い音です。俺、父上について、ベルツ家か管理する地域を一通り視察したんですけど、気候が穏やかなこの地域で、こんなに強い風が吹くのってヒースターくらいだったと思って……」
私は耳を澄まし、部屋の外の音を探る。
確かに微かだけれど、風を切る高い音が聞こえる気がする。
「凄い! よく気付いたわね」
「い、いえ……グレーテ様のお役に立てたのなら良かったです」
表情を和らげるヘルマンを横目に見ながら、頭の中でこの地域の地図を思い浮かべる。
ヒースターはベルツ家の屋敷からそれ程距離がない。歩いて行けば半日程はかかってしまうけれど、途中に危険な地形も無く、乗り物が手に入らなくてもなんとか帰ることは出来そうだ。
良かった。まるで何も分からなかったところから、僅かだけど前進した。
少しほっとしながら、もう一度の風の音を聞こうと耳を澄ましていると、思いがけない音が聞こえて来た。
「ねえ、足音が聞こえない?」
耳が良さそうなヘルマンに確認する。
微かな足音が、段々と大きくなって来ている気がする。