クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 私の問いに、サウル王子はゆっくりと頷いた。

「そうだ。その条件はバラークのアンテス侵攻に協力すること。まずはグレーテ姫を人質にとり、辺境伯たちを混乱させる。まずは助けを求める文でも書いてもらおうか」

「自分が王位に就くためなら、戦争が始まってもいいと思ってるの? 沢山の一般の人達が傷付くのよ?」
「勿論。その犠牲を払っても私は国王になりたい。国王の位はそれだけの価値がある。王妃の地位も望める血筋でありながら、騎士の妻になろうとするグレーテ姫には理解出来ないだろうが」

 なんて自己中心的な人なのだろう。自分の望みのためなら他はどうでもいいような言い方。

 でも、この人を言葉で止めるのはきっと無理。私とは考え方がまるで違うのだから。

「私はあなたに協力なんてしないわ! それに……私を人質に取ったところでアンテスがバラークに降伏する事はない。お父様は私ひとりの命より国を守ることを選ぶはずだし、リュシオンもそれに従うはずだから」

 その選択をするのに、とても苦しませてしまうと思うけれど。

「そうだとしても構わない。その場合、か弱い姫を見捨てた辺境伯と騎士リュシオンは、非情の人物として、民からの求心力を失いアンテス領は混乱するはずだからな」
「……悪魔だわ」

 サウル王子を睨みながら言う。けれどそれで余計に喜ばせてしまったようだ。
 機嫌よい声が部屋に響く。
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