クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 人払いがしてあったのか、部屋の近辺には誰もいなかった。

 サウル王子の部下がどこかにいるとは思うけど、迷っている暇なんてないから、人の気配の無さそうな方向に駆けていく。

 この建物は大きいけれど、普通の民家のようだ。
 廊下には、外に出られる、普通のつくりの窓が並んでいた。

 玄関の方向はなんとなく分かっていたけれど、私は目についた窓から外に出た。
 とにかく、この家の中から脱出したかったのだ。

 早く逃げてなんとか助けを呼ばなくては。
 そして、家の中に残っているヘルマンを助けて貰わなくては。

 監禁されていた家は、予想していた通り高い樹々に囲まれていた。
 ここがヒースターなら、どこかに民家が必ず有るはず。

 広い森を、助けを求めて懸命に走る。
 だけど恐怖と焦りからか、途中何度も躓いては転んでしまう。
 痛みを感じる暇もなく立ち上がり、また駆け出す。
 
 幸運にもまだ誰にも見つかっていないけれど、いつサウル王子や私兵が来るか分からない。

 夢中で駆けていると、灰色の高い塀の様なものが見えて来た。

 あれは……何かの建物?
 ようやく人が居そうな場所を見つけて、私は希望をもって塀に向かう。

 でも気が緩んだせいか、足元に突き出ていた木の根を見逃してしまい、気が付いた時には足をひっかけ、派手に転んでしまっていた。
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