クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 私は驚愕してフレッドの背中を見つめる。

 彼は今、リュシオンのことを呼んだ。
 アンテス城に戻ったはずのリュシオンが、ここに居るというの?

 どうして?

 信じられない思いだったけれど、フレッドの呼びかけに応える聞きなれた声が耳に届いた。

「フレッド、何事だ?」

 声と共に、木の陰からリュシオンが姿を現す。

 ベルツで別れた時とは違う、黒の軍服姿で抜き身の剣を手にしている。

 その表情は固く険しいものだったけれど、私は心から安堵してリュシオンの名を呼んだ。

「リュシオン!」

 私の呼びかけにリュシオンは直ぐに反応して、視線を向けて来る。

 次の瞬間には勢いよく駆け寄って来て、地面に倒れたままの私の目の前に膝をついた。

「どうしてここに?」

 リュシオンは私の様子を確かめようとしているのか、頭から足元まで視線を走らせながら言う。

 私は周りの状況を考える余裕もなく、夢中でリュシオンに抱き付いた。

「リュシオン!」
「グレーテ……」

 リュシオンは戸惑ったように私の名前を呼ぶ。
 離されたくなくて、私は力を込めてリュシオンに縋りついた。
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