クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「そんな事気にしなくていいのに」

 変な気を回さず、私に選ばせてくれたら良かったのに。

 少し残念な気持ちでもう一度鏡を見た。
 瞳の色に合わせた緑の服はまあまあ可愛いと思うけど、やっぱりこの髪型が納得いかない。やり直しを頼もうか悩んでいたところでホリーが言った。

「グレーテ様の栗色の髪に赤いリボンはお似合いですよ。赤はリュシオン様の色ですし、これからは赤の装飾品を増やしたらいかがですか?」
「……リュシオンの赤?」

 確かにリュシオンと言えば赤の印象がある。単に髪の色のせいなのだけれど。
 でもそう考えると赤を好きになるから不思議だ。
 さっきまで不満だったリボンも可愛く見えてくる。
 ホリーの言う通りこれからは赤を増やしていこうか。

「グレーテ様どうしたんですか? もしかしてこのリボンか不満なんですか?」
「いえ……何でもないわ。リュシオンを待たせるのは悪いし、そろそろ行きましょう」
「はい」

 ホリーはホッとした様子で頷くと、いそいそと支度を始めた。


 今日は珍しくリュシオンの仕事が休みなので、城下街アトレゼへ連れて行って貰う事になっている。

 リュシオンと私的な事で出かけるのは初めてだから、私は今日の日をとても楽しみにしていた。

 本当はふたりきりで行きたいのだけど、リュシオンが護衛として部下のフレッドも連れて行くと言うから、私もホリーを連れて行く事にした。

 ホリーもかなり乗り気で、当日はふたりして街の女性の格好をしようと盛り上がり、ホリーが前もって服を用意し、ついでに流行の髪型を結ってくれたと言う訳だ。

< 19 / 164 >

この作品をシェア

pagetop