クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 待ちあわせをしていた城の中庭に行くと、時間より早いのにリュシオンとフレッドはもう来ていて、私とホリーを迎えてくれた。

「リュシオン、フレッドお待たせ」

 リュシオンは笑顔を、フレッドは礼を返してくれる。

 リュシオンはいつもの騎士服ではなく、地味な色合いの普段着姿。フレッドも同じような格好だ。
 日常とは違う新鮮さを感じ、気分が高揚する。

 私達は早速出発する為、近くの厩舎に向かった。厩舎長が私達の対応をしてくれて、リュシオンとフレッドはそれぞれの愛馬を渡し、私とホリーには扱い易いと言う大人しそうな栗毛の馬を用意してくれた。

 リュシオンの案内で城を出る。
 アンテス城は小高い山の上にあるから、かなり遠くの景色まで見渡せる。
 城内の塔からも眺める事が出来るけど、外に出てなだらかな坂道を馬で進みながら見る景色に特別な開放感を感じた。

「綺麗ね」

 晴れ渡る爽やかな空。遥か北方にある深い海の青。色味は少し違っているけれど、どちらもとても素晴らしい。

 キョロキョロと周囲の景色を楽しんでいると、直ぐ隣で馬を走らせていたリュシオンが言った。

「グレーテ姫、道が少しぬかるんでいるので気をつけてください」

 言われて地面に目を遣れば確かに湿っているように見えた。

「本当ね、いつ雨が降ったのかしら? 滑らないといいんだけど」
「恐らく夜中に通り雨が有ったのでしょう。無理をせずにゆっくりと進めば大丈夫です」

 リュシオンに言われ、私は馬の速度を落とす。乗馬の技術に自信が無い為少し心配だったけれど、リュシオンが付いてくれているから、大丈夫だと思えた。

 ホリーが心配になって後ろを振り返ると、フレッドと楽しそうに会話をしているところだった。

 訓練場で助けて貰って以来、ホリーとフレッドは大分打ち解けて親しくなったようだ。
 ホリーの事はフレッドに任せておけば大丈夫だろうと安心し、私はリュシオンに声をかけた。

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