クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 リュシオンと結婚した後は、あの白いレースのブラウスとリボンを使う機会が有るのだろうか。

 リュシオンは国一番の実力を持つ優秀な騎士だけれど貴族ではないから、私の暮らしは今と大分変わると思う。 

 でも、そう言えば、私達は結婚後の事を殆ど話し合っていない。

 どんな家庭にしたいかとか、子供は何人欲しいかとかお互いの希望を言い合った事は無いし、結婚後住む場所や、リュシオンの家での私の役割なども何一つ聞いていない。

 良い機会だから今日、将来について話し合ってみようか。それで近い将来の自分の暮らしぶりを想像できるようになれば、今後必要なものなどの判断が付く様になるはずだ。


「このリボンは保留にするわ、少し考えてまだ欲しかったら後で買うかもしれない」

 そう言うとホリーは頷いて、白のリボンを元有った籠の奥に仕舞った。

「そんな奥に入れてしまうの?」

 他のリボンに隠れてすっかり見えなくなってしまっている。

「こういう店は取り置きして貰えないので、売れないように隠しておくんですよ。と言っても気休めですけどね」
「なるほど」

 流石だなと感心しながら、ホリーが青のリボンを仕舞う姿を眺めた。どうやらホリーも購入を迷っているようだ。
 
 それが終るとふたりでリュシオンとフレッドが待つ出口に向かう。
 途中ホリーが小声で言った。

「それにしてもグレーテ様ってしっかりしていますよね」
「どこが?」

 ホリーの方が余程しっかりしていると思うけど。

「リボンなんていくらでも買える身分なのに、本当に必要なものかどうかで迷っているんですよね? 直ぐ衝動買いしてしまう私からすると凄いことです」
「そんな深い考えが有っての事じゃないわ」

 ただ今日は記念すべきリュシオンとの初めての外出だから、良い思い出にしたい。
 後悔するような買い物をしたくないだけだ。


 リュシオン達と合流すると散策の続きをする。自然と私とリュシオンが前を歩き、ホリーとフレッドがその少し後に続く形になった。
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