クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「グレーテ様、何か有ったんですか?」
いつの間にか立ち止まってしまっていたのか、追いついて来たホリーが声をかけて来た。
「あ……いえ、何でもないわ」
ホリーにそう答えてから、私はリュシオンに向き直り笑顔で言った。
「そろそろお腹が空いてきたわ。北の広場へ移動しましょう」
「分かりました」
リュシオンの案内で、私達は再び歩き出す。
日が高くなって来て人出が多くなったのか、周りはガヤガヤと騒がしい。
私は隣を歩くリュシオンの手をそっと握った。
その瞬間リュシオンがビクリと反応したのが伝わって来る。驚いたように見下ろして来るリュシオンに、私は微笑んだ。
「はぐれたら恐いから、いいでしょう?」
「ですが、手が塞がっているといざと言う時の動きが遅れてしまいます」
リュシオンは困ったように言う。
今にも手を振り払われそうな気配を感じ、私は離されないようにリュシオンの手を強く掴んだ。
「リュシオン、さっきは護衛の事でいろいろ言ってごめんなさい。どうしてフレッドが必要なのかはよく分かったわ」
突然話を変えたからか、リュシオンの顔に戸惑いが浮かぶ。
「これからは護衛の事で文句を付けたりはしないわ」
にこりと笑って言うと、リュシオンは曖昧に頷いた。
「ご理解頂きありがとうございます」
そう言いながら視線は繋がれた手に向いている。
早く離せと言いたいのだろう。それに気付かないふりをして私は続ける。