クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 北の端の広場に有る飲食街には、沢山の店が立ち並んでいた。

「どのお店も綺麗ね」

 これなら安心して入る事が出来る。

「この辺りは以前は屋台が溢れていたのですが、盛況だった為徐々に店舗が増えて来たようです」
「そうなの。それで新しい店が多いのね」

 リュシオンの説明に頷き、私は周囲に視線を走らせる。
 新鮮な果物を並べた店、見た事もない異国の料理を扱う店。肉料理と看板が出ている店の入り口には男の人が沢山並んでいる。ここに来ればどんなものでも食べられそうだ。

「リュシオンの言っていた魚料理の店はどこにあるの?」
「あちらです」

 リュシオンが示す先には白い壁に【月花亭】と看板が掲げられた、広場では比較的小さな店だった。

 私達はリュシオンの案内では月花亭に入る。

 中は外から見た印象の通りあまり広くないけれど、清潔感のある居心地の良さそうな空間だった。

 大きなテーブルがひとつ。二人用と思われるテーブルが五つあり、その内三つが既に埋まっていた。空いているのは窓側のふたり席と、入り口側のふたり席。

 私とリュシオンが窓際の席に座り、フレッドとホリーが入り口側の席に座る。窓の外は広場なのだけれど、店の周りに木を植えてある為、行き交う人の様子は気にならなかった。

 私が周囲の観察をしていると店員が来てリュシオンにメニューらしき紙を渡した。店員は若い女の子で、リュシオンをちらちらと気にしながら、ホリー達のテーブルへ移動した。

 リュシオンは自分に向けられた視線に気付いていないのか、全く気にした様子もなく軽くメニューに視線を落としてから、私の方に差し出して来た。

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