クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「……本当?」

 リュシオンの気持ちも、少しずつ近付いて来てくれているの?

「はい」
「だとしたら凄く嬉しい……私、リュシオンに好きになって貰う自信があまり無いから」

 安心してつい本音を漏らしてしまうと、リュシオンが怪訝な顔をした。

「なぜですか?」

 聞き返されて答えに詰まった。
 なぜなら私が一番気にしているのは、やはりお姉様の事だからだ。

 リュシオンが好きだったお姉様と、自分自身を比べて劣等感を抱いてしまうのだ。

 アンテス家の長女として、王族の婚約者としての教育を受けていたお姉様は、大したしがらみはなく、のんびりと育った私よりずっと貴族令嬢としての嗜みがある。
 それに容姿も優れている。
 お姉様の艶やかな銀の髪と菫色の瞳に、私は幼い頃から憧れていた。

 リュシオンはそんなお姉様を想っていたのだから、私では不満に感じるかもしれないと不安になってしまう時がある。

 だけどその気持ちをリュシオンに伝える事は出来ない。

「……だってリュシオンから見たら私なんてまだ子供でしょ? 結婚相手として見れないんじゃないかと思って」

 代わりに二番目に気にしている事を伝えると、リュシオンは納得したように頷いた。

「その心配はお互い様ですよ。私も若く尊い身分のグレーテの相手が本当に自分で良いのかと、自問する事があります」
「そんなの気にする事ないわ。私はリュシオンが結婚相手で嬉しいもの」

 直ぐにそう返すと、リュシオンは穏やかに微笑んで言った。

「だからお互い様だと言ったのですよ。私もグレーテの夫に選んで貰えて嬉しいと思っています」
「……嬉しい?」

 リュシオンからその言葉を聞いたのは初めてだった。
 だって以前は、辺境伯令嬢の夫に選ばれて光栄だって言っていたのだから。

 同じような事を言われているのだけれど、今の方が素のリュシオンの言葉に感じる。

 喜びがじわりと湧いて来て、勝手に顔が綻んでしまう。

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