クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「私の過ちで・カランドラ様は未だ癒えない大きな怪我を負いました。ですがそれについてグレーテが気に病む事は有りません。ベルツ家としても、アンテス家の令嬢のグレーテを責める事は出来ないはずです」

「……それでいいのかしら」

 迷いながら言うと、リュシオンは頷いた。

「それから宴席には、私の生家カイザー家の人間も来るはずです。私の事で不快な事を言われるかもしれません」

 カイザー家。まだ子供のリュシオンを情け容赦なく追い出した人達だ。

「リュシオンの事を悪く言われたら、私も黙っていられないわよ」
「駄目です。聞き流してください」

 リュシオンにきっぱり言われて、私は不満ながらも言い返さないと約束した。

 本当は言ってやりたい事が山ほどあるけど、リュシオンが嫌がるのなら仕方無い。

 私が諦めた事でホッとしたのか、リュシオンが珍しく愚痴を零した。

「出来ればグレーテに行って欲しく有りませんでした」
「そう言えばお兄様と話している時からリュシオンはベルツ行きに乗り気じゃ無かったわ……昔の事が有るから?」

 リュシオンは憂鬱そうに頷いた。

「それもあります。私の事でグレーテが不快な思いをするかもしれない。ベルツ家に縁のあるシハレフ王族の存在も不安です」
「どうして? シハレフは友好国なのに」

「今回の訪問で唯一グレーテより身分が上で、無碍に出来ない相手だからです」
「それはそうだけど、シハレフの王子が無体な事をするとは思えないわ。リュシオンは心配症ね」

 くすりと笑うと、リュシオンは怒ってしまったのか眉をひそめた。
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