捨てられた町
が、その体を傘は離そうとしない。


ようやく出会えた恋人のようにネックレスにほおずりなんてしている。


「相当嫌がってるな」


カエルが言った。


誰がどう見てもネックレスは拷問を受けているように見える。


「君たち2人は知り合いなの?」


僕が聞くと傘は左右に首を振った。


「いいえ。だけど傘と雨は一心同体よ」


「だけどそれは雨じゃなくて、雨に似た形をしているネックレスだよね……?」
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