騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「……ルーカス様にお会いするのが、今からとても楽しみね」


遠い日の記憶に想いを馳せ、ぽつりと零されたビアンカの言葉にアンナが再びギクリと肩を揺らした。

ゆっくり、ゆっくりと進む馬車。

ああ──、どうか。世間知らずで、自分のことに無頓着な王女に"彼の正体"が、ギリギリまでバレることがありませんように。

そんなアンナの思惑も露知らず。ビアンカはほんの少しだけ浮いた心を連れて、馬車の中からそっと青い空を仰いだ。


 
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