騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「それにしてもなんで、同じようにシているはずなのに、ルーカスはあんなに普通なの……?」
けれど考えても考えても答えには辿り着かないのだ。
カウチソファーに横たわりながら、未だに身体に残る熱を抱えてビアンカは一人、深い溜め息を吐く。
目を閉じると瞼の裏に映るのは、今朝、何事もなかったように部屋を出ていった、ルーカスの姿だ。
今朝だけではない。夜通しビアンカを抱いたルーカスは朝になると必ず、何食わぬ顔で騎士団の制服を着て出掛けていく。
本当なら、ビアンカよりも疲れていて可笑しくないのに──というのは、夜を共にしているビアンカなりの見解である。
「さすが、騎士団長様というところでしょう。これも日頃の鍛錬の賜物なのでは?」
そうだとしたら、鍛錬の方向が間違っている。
毎度毎度、サラリと言ってのけるアンナを前に、ビアンカは頬を赤く染めて俯いた。
脳裏に浮かぶのは一切無駄のない、筋肉質な身体と滑らかな肌。
腕や腰には小さな切り傷こそあれど、女のビアンカが見惚れるほど美しい身体だ。
彼が吐息を零すたびに上下する喉仏。首筋を伝う汗とビアンカを射抜く目はいつだって獰猛な、男の色に染まっている。
初めこそビアンカも、強い痛みのせいで彼を観察する余裕はなかったものの、一ヶ月経った今では甘い快感に溺れながらルーカスの表情を盗み見ることもできた。
時折ビアンカを見て微笑む彼が色っぽく、目が合うだけで身体の芯が甘く震えることも──。思い返せば思い返すほど、心臓に悪いことばかりだ。