騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「失礼いたします」


ジェドは胸に手を当て、一度だけ深く頭を下げると豪華なドレスに身を包んだビアンカを見て目を見開いた。


「ビアンカ様……、今日はいつにも増してお美しい」


言いながら、ジェドが本当に自分に見惚れているように微笑むものだから、ビアンカは返す言葉を失った。

ノーザンブルにいた頃から主に失礼なアンナの言葉ばかりを受けてきたので、基本的には褒められることに慣れていないのだ。

そう考えると自分は随分、心が広い。侍女に貶されることに慣れている王女なんて、世界中を探してもなかなかいない。


「これは、団長がご心配なさるのも仕方がないですね。今日は……特に、ご心配も大きいはずです」

「ルーカスが? どうして?」


ビアンカの言葉に、ジェドはニッコリと笑うだけ。


「今回の晩餐会では、我々王立騎士団が通常の二倍以上の人数で王宮内外の警備に当たります。どうかご安心して、晩餐会をお楽しみください」


質問に答えることはせず、再び、うやうやしく頭を下げたジェドを前に、ビアンカは首をひねるばかりだった。

(ルーカスが心配している……というのは、私が晩餐会で粗相をしないかどうかということ?)

それにしても王宮内の警備が通常の二倍以上とは……名だたる国の王たちが集まるのなら当然なのかもしれない。


「お忙しいところ、お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした。それでは自分は、これで失礼いたしま──」

「あ、ちょっと待って! ルーカスは今、どこにいますか?」


頭を下げ、部屋を出て行こうとするジェドをビアンカは慌てて引き止めた。

 
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