騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「団長ですか?」
「……はい。晩餐会まであと二時間、彼の姿を見掛けていないので……」
つい、語尾が小さくなったのは婚儀の日のことを思い出したからだ。
ビアンカがセントリューズに嫁いできた日、ルーカスはビアンカを迎えてくれるどころか山賊討伐のために出張っていた。
もちろんそれが、ビアンカの身を守るためだったということも今ならわかっているけれど。
まさか今日も、騎士団の職務のために席を外すとなれば諸外国の王族たちに失礼だろう。
「団長なら多分、中央庭園にいらっしゃるかと思います」
「中央庭園に?」
「はい。既に御支度を済ませ、そちらへと向かう姿を先ほど見掛けましたので」
ジェドの言葉にビアンカは思わず胸を撫で下ろした。
さすがの騎士団長様も、今日はセントリューズの第二王子という立場に腰を据えてくれるらしい。
「ありがとう。行ってみるわ」
ビアンカがニッコリと微笑むと、ジェドは小さく微笑んでから部屋をあとにした。
晩餐会まで、あと二時間。ルーカスは、今の自分の姿を見たらなんと言うだろう。
ビアンカは鏡に映る自分へと目を向けて、そっと小さく微笑んだ。