騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ビアンカを花嫁として迎えるには、騎士団長という地位が必要だった」
考えてみたらルーカスと出会ってから、ビアンカは驚いてばかりだ。
「お前を幸せにするためには──ビアンカが生涯生きるこの国が、長く平和でなければならない」
それでも今、ルーカスを前にして溢れるこの気持ちは……愛しさ以外の、何ものでもないだろう。
「俺はビアンカを幸せにすると、幼い頃に誓ったからな」
ビアンカの頬に手を添えたルーカスは、慈しむように彼女をそっと包み込む。
「いつか、剣の必要のない時代が来ればいい」
「……もちろん、その時代はオリヴァー国王陛下とルーカスが創り上げていくのよね?」
そっと、ルーカスの頬に手を滑らせながら尋ねると、彼が優しく目を細める。
「ああ。それがお前の幸せならば、俺がその時代を創り上げよう」
とても、とても壮大で気の遠くなるような話だ。
けれど、ルーカスなら。そしてオリヴァー国王ならきっと、その礎を築いてくれるだろう。
「勘違いしないで。私の幸せはいつだって、あなたの隣にある」
「……ああ」
「だから、必ず、私をその時代に連れて行ってね」
愛しい彼がいなければ、もうきっと、一人の夜を越えられない。
なぜならビアンカは、知ってしまったから。
人を愛するという気持ちはこんなにも切なく──温かいということを。