騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「……昔から、オリヴァーだけはどんな時も、兄として、弟の俺に優しかった」
そんな彼が、オリヴァーの地位を脅かそうなど。兄の命を狙おうなどと考えるはずもない。
少し冷静になって彼らを見ていれば、優にわかることなのに……王太后は、そんなことにも気づけずに、ルーカスを悪だと決めつけていた。
「オリヴァーだけはいつも、俺を自分の弟として扱ってくれた」
国王であるオリヴァーは、そんなルーカスの想いにも気が付いていたのだろう。
自分のためならば命も捨てようという弟の覚悟に、聡明な彼が気付かないはずがない。
「それじゃあやっぱり、ルーカスはオリヴァー陛下の力になるために、騎士団に志願したのね」
「ああ。だが、それだけでなく……お前を、この手に迎えやすくするためでもあったが」
「え……」
「我が騎士団は、セントリューズでも群を抜いた精鋭たちの集まりだ。特にジェドは……情報収集のエキスパートでもある。今回、俺とお前の夜の噂や、お前の祖国が狙われていた話など……裏で暗躍していたのは、ジェドだからな」
「え……ええええ……!?」
思いもよらない事実に、ビアンカはつい声を上げて驚いた。
まさか、あのジェドが。あの、良い人を絵に描いたような男が裏で暗躍していたとは夢にも思わない。