騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「ビアンカ様に、ルーカス王子の職務の件を話さなかったのは、国王様のご命令があったからです」

「お父様の、命令……?」

「はい。"ビアンカは、ルーカス王子が優しく穏やかな青年だと思い込んでいる。もし本当のことがバレたら、たとえ政略結婚でも駄々をこねるかもしれないから、ギリギリまで黙っていろ"……と」


アンナから告げられた思いもよらない言葉に、ビアンカは絶句した。


「国同士を繋ぐ大事な政略結婚から、ビアンカ様が逃げ出さないようにと国王様が予防線を張ったのですよ」

「そんな……っ。いくら私でも、自分の立場くらいわきまえているわ! 結婚に私情を挟むなんて、一国の王女としてするわけがないじゃない!」

「では、ルーカス様が王立騎士団の騎士団長を務めていると予め知っていても、今回の政略結婚の話を快くお受けしましたか?」

「そ、それは、もちろんっ! ……た、たぶん」

「ハァ……。ビアンカ様は、ルーカス様が"花が好きな優しい青年"に成長されているであろうと思ったから、快く引き受けたのですよね。ルーカス様となら、たとえ政略結婚でも穏やかな家庭を築いていけるのではないかと思ったから」


図星を突かれたビアンカは、つい黙り込む。

 
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