騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「男というものは、わかりやすい生き物ですから。異性と同じベッドに寝ていて手を出さないなんて、あり得ません」

「そんな……」

「ルーカス様は、よほどビアンカ様が女としては見れなかったのですね……」


女としては、見れない。その言葉に、今度はズキリと胸が痛んだ。

昨夜、ルーカスはビアンカを大切に想ってくれているような言葉を何度も口にした。

だけど……その言葉は全て、まやかしだったのだろうか。

駄々をこねる子供をあやすのと同じで、ビアンカを適当に、あしらっただけなのか。


「……う、アンナの、バカぁ!!」

「あ……ビアンカ様!」


ビアンカはショックのあまりベッドから飛び降りると、ドレッシングルームの中へと駆け込んだ。

後ろ手で乱暴に扉を閉め、鏡台に手をつき、一人、静かに息を吐く。

(そんな……あんまりだわ!!)

目の前にある、大きな鏡に映るのは、まだ幼さの残る自分の顔だ。

母親譲りのブロンドの髪。

緩くウェーブのかかった髪は胸下まで伸びていて、朝の光に透けていた。

白い肌は昔から父が綺麗だと褒めてはくれたけど、ほんのりとピンク色に色付いた頬のせいで、どうしても子供っぽく見えてしまう。

唇も、同じだ。特にぽってりとしているわけではなく薄めで、子供っぽい。

大きな目。ヘーゼルに輝く瞳は、ルーカスの目にはどう映っていたのだろう。

──こんな子供じゃあ抱く気にはなれない、なんて。

まさか、彼にそんな風に思われていたのかと思うと言いようのない羞恥心に胸が覆い尽くされて、先ほどまで浮かれていた自分を殴りつけたくなった。


 
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