騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「ポジティブすぎる夢……」
だけどそう言われるたび、そうだったんじゃないかと思えてくる。それほどルーカスからの愛の告白は突然で、予想外のものだった。
ポジティブな夢……寧ろ、本当に夢だったなら、こんなに悩まずにも済むのに──なんて、投げやりなことを考えるのは逃げだろうか。
「うう……っ。もう考えても考えても、どうしたらいいのかわからない……」
思わず唸ると、アンナが再び溜め息を吐いた。
「それならもう、いっそのこと考えるのを止めてしまったらどうです?」
「へ……?」
「考えてばかりいないで、思い切って行動に出たらどうだということです」
キッパリと言い切ったアンナは、綺麗に磨かれたティーカップをトレーの上に並べている。
「頭ではなく、心の思うままに動けばいいだけ。所詮、恋だ愛だなんて、頭で考えて答えの出るものではないのでしょう」
「心の思うままに……」
「はい。そして、心の思うままに動くのが難しいなら強行突破あるのみです。全部すっ飛ばして、身体をルーカス様に委ねてしまえば案外早く、答えに辿り着けるかもしれません」
「な……っ!?」
「まさに、裸と裸の付き合いです。お互いのことを良く理解するには、それが一番の近道かもしれませんよ」
ティーカップに紅茶を注ぎながら、何食わぬ顔で言い放ったアンナとは裏腹に、ビアンカは顔を真っ赤に染めて固まってしまった。
身体を、ルーカスに預ける。それは、思い切ってルーカスと夜を共にしろということで、つまりさっさと男女の仲になってしまえということに他ならなくて──。