騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「だからビアンカ王女は、これからもルーカスのそばで、気長に彼を知ってくれたらいいと私は思うよ」


ニッコリと、穏やかに笑うオリヴァーの目には弟を想う、兄としての優しさが滲んでいた。


「で、でも……」

「うん?」

「そもそも何故、ルーカスが騎士団長を務めているのですか?」

「…………」

「ルーカスは国王陛下の実弟であり、第二王子ですよね。そんな彼が何故、危険な騎士団長を務めているのか、私には到底理解できなくて……」


弱々しく尋ねると、オリヴァーは一瞬、顔色を曇らせた。

たった今の今まで楽しそうに話していたというのに。予想外の反応に、ビアンカも思わず押し黙る。


「……ビアンカ王女との結婚同様、王立騎士団には、ルーカス自身が志願したのだよ」

「え……?」

「理由は……本人から聞いたわけではないが、大体の想像はつく。そして、私のその想像が間違っていないであろうことも、ね」


そこまで言うとオリヴァーは、悲しげに睫毛を伏せて手元へと視線を落とした。

(騎士団には、ルーカス自身が志願した?まさか、この国一だという剣の腕を、国のために役立てたかったからとか、そんな理由?)

だとしてもどうして、国王を含む王族たちは、彼の行動を止めなかったのか──。

何故今、オリヴァーは悲しげに睫毛を伏せるのか。

 
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