騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「オリヴァー国王から聞いたの。ルーカスが、ノーザンブルに攻め入ろうとしていた国の軍隊を撃滅させたって」
「…………」
「私、そんなこと何も知らなくて、ルーカスに今日までお礼も言えないままだった……。何も知らずに、ただ呑気にこの部屋で笑ってて……」
ビアンカはセントリューズという後ろ盾を得たことで、祖国は自然と守られるものなのだと思っていた。
けれど実際は、ルーカスたち騎士団が直々に動いて敵国の軍を鎮圧してくれたのだ。
自分は一体どれだけ世間知らずで呑気に生きていたのだろう。
今日まで自分が彼に生かされてきたのだということにも気付かず、彼の好意を無下にしていた。
「ありがとう、ルーカス。私の祖国を救ってくれて。私のお父様と、愛する国民を救ってくれて……本当に本当にありがとう」
そこまで言うと、ビアンカは右手をルーカスの左手に重ねた。
彼の大きな手をビアンカの小さな手が包み込むことはできず、長い指をキュッと掴んで彼を見上げる。
「私、ルーカスのためならなんでもする。ねぇ、私は、ルーカスのために何ができる? 妻として、あなたにできることがあるなら精一杯務めるから。だから──」
「俺がお前に願うことは、ただ一つだ」
「……え?」
「生涯、俺のそばを離れるな」
「……っ!!」
「妻として務めるのではない。お前自身が、それを望め」
ギシリ、と。ベッドのスプリングが大きく唸ったと同時、ビアンカは真っ白なシーツの上へと押し倒された。
波打つように広がるブロンドの美しい髪。
ビアンカを組み敷いたルーカスは、彼女を見てそっと、目を細める。