騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
「それと、お前は何か、勘違いしているようだが……」
「え……?」
「俺はノーザンブルを救うために、お前に結婚を申し出たわけではない。お前の父と祖国の国民のことなど、この俺が知ったことか」
「……っ」
「ノーザンブルを隣国の王が狙っているという情報を聞きつけた時、俺が一体どういう気持ちだったかわかるか?」
「ルーカス……?」
「やっと、この時が来た。お前を──ビアンカを手に入れる時が来たのだと、喜びで、胸が震えた」
「んん……っ!」
その言葉と同時、ルーカスはビアンカに噛み付くようなキスを落とした。
ビアンカが思わず彼の着ているシャツを握ると、一層キスが深くなる。
「んん……っ、ふ、」
何度も角度を変え奪われる唇に、ビアンカは付いて行くだけで精一杯だった。
それでも必死に応えなければと思うのは、彼の熱情が確かに、ビアンカの胸に流れ込んできたからだ。
応えたい、受け止めたい。そんな彼女の健気さに気が付いたルーカスの胸には、ビアンカに対する言いようのない愛しさばかりが溢れだす。
「……俺は、お前を救うために動いたわけじゃない」
ぽつり、と。吐息も交わる距離で目が合う。