御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
本当は私だって偉そうなことは言えないのに。
仕事に必死で、彼氏ひとりいなかった私に。


ただひとつ一木さんと違うのは、彼氏の存在を犠牲にしたわけではなく、たまたまできなかっただけ。
彼氏が欲しくなかったわけじゃない。


「今日のレッスンはここまでだ。たまには早く寝てみるか」


彼は私の頭をポンと叩いてから立ち上がった。

抱きしめられたときはあんなに恥ずかしくてたまらなかったのに、急に彼の体温が遠ざかると寂しい。


「歯磨きするか」

「はい」


広い洗面所で、彼と並んで歯磨きするのが不思議。
だって、昼間は私を叱る上司なんだもの。

ちょっと歯磨き粉つけすぎじゃ?と思うほど、白い泡を立てながら歯を磨いている様子をこっそり盗み見していると、なんだか強い視線を感じて顔を前に向けた。

あっ……鏡越しに見られてた。


「おはえ、はにみたろん……」


彼はなにか言っているけれど、まったく伝わらない。
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