御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
もしあのとき逃げ出していなければ……あのまま車で送ってもらっていたら、もしかして……。

夏目さんがそんな人ではないと信じたい。
でも絶対になかったとは言えない。

そう考えると急に怖くなり、ポロポロと涙がこぼれてきてしまった。


「泣くな。悪いのはお前だ」

「はい」


一木さんの言う通りだ。


「悪いのは……」


もう一度そう口にした彼の声が少し震えている。


「なにもなくて、よかった……」


続けて吐き出すように言った彼は、今度は私を強く抱き寄せる。

そんなに、心配してくれていたなんて。
軽い気持ちで夏目さんの誘いに乗ったことを激しく後悔した。


彼はそのまましばらく離してくれなかった。

彼の大きな胸に耳を当てていると、ドクドクと彼の鼓動が聞こえてくる。
心なしか速く感じるのは気のせいだろうか。


「風呂、入るか?」


私を解放した彼は、もういつもの顔に戻っている。


「はい。私、入れてきます」

「頼んだ」
< 191 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop