御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
桑田さんの顔がちらついて、素っ気ない返事しかできない。


「英莉。調子でも悪い?」

「そんなことないです」


心の調子が最悪だったが、私は彼に背を向けたままそう口にした。

朝食の間、淳也さんの話に相槌を打つことしかできなかったからか、彼が不意に私の額に手を伸ばしてきた。


「熱はない」

「大丈夫ですから」

「そっか。無理するなよ」


どうしよう。
いつもは触れられるとうれしいのに、今はこれ以上距離を縮めたくない。

どうして、嘘なんてつくの?

苦しい気持ちを抱えたまま、ふたりで家を出た。


それでも出勤してしまえば、いつも通り。
上司と部下の顔はできる。


「リーダー、会議室だ」


そしていつもの光景。
桑田さんはいまだリーダーに復帰できず、立ち上がることもない。
ふと彼女を見つめていると視線が合ってしまい、慌てて逸らした。


一木さんたちが戻ってくると、すぐにコピーを頼まれコピー室に向かった。
すると、桑田さんもやってくる。
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