御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
昼間、何度か電話をかけてみたが、英莉は『大丈夫』の一点張り。

声がかすれていくのに気がつき、すぐにでも家に帰りたいという衝動を必死に抑えて仕事を片付けた。


慌てて帰ると、彼女は俺にうつるからと、自分の部屋のほうのベッドに潜り込んでいた。

朝より熱がずいぶん上がっていて、苦しげに呼吸を繰り返す英莉を見ているのがいたたまれない。

帰ってきた香川に診てもらったところ、喉が真っ赤で、いわゆる風邪だろうという診断だ。


「疲れがたまって免疫が落ちていたのかもね。ゆっくり休ませてあげて。解熱剤はつらいときだけ使って」


香川は帰りがけに玄関で、てきぱきと俺に指示を出す。
なんでも香川の初診は、何カ月も先まで予約がびっしり詰まっているらしく、そんな優秀な医者に診てもらえるのはありがたい。


「了解」

「それと……奥さんきれいだな」

「は……」
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