御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
香川の言葉に、俺はあんぐりと口を開ける。

ニッと笑った香川は「大切にしろよ。お大事に」と帰っていった。


クソッ。英莉のスッピンを見られた……。
俺だけのものだったのに。

いや、今はそんなことより……。

すぐさま英莉のところに戻ると、熱のせいで潤んだ瞳を俺に向け「ごめんなさい」と、弱々しい声を絞り出す。


「謝る必要なんかない。苦しいよな。少し我慢だぞ」


彼女はなんでも一生懸命になりすぎるから、仕事も頑張りすぎたのかもしれない。


「はい。淳也さんはもう違う部屋に行って」

「そんなことできない。今日はここで寝る」


俺が言うと、彼女は首を振る。


「淳也さんまで倒れたら、私、責任感じちゃう」

「英莉……」

「その代わり……治ったら、たっぷり甘えさせて?」


お前、男を煽る技術に磨きがかかってないか?


「あ、あぁ。もちろんだ。なにかあったらすぐに呼べよ」


ダメだ。我慢だ。
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