御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
それに、部屋が決まってからでいい。


「仕事はそれなりの服装をしてもらわないと困るが」


あっ、そうか。
プレジールは制服だったから、行き帰りはなんでもよかった。

就活用のスーツが一着あるだけだ。


「でも、あんまりお金使えないんで……」


家賃分と食費は残しておかなければ。


「俺がそろえてやる」

「いえっ、そんな!」

「それとも、俺に恥をかかせるつもり? 一応俺が面接をしたんだけど」


そう言われて返す言葉もない。
たしかに、よれよれの服装で出社したら、採用した一木さんの目が疑われるかも。


「あの、あとでお返しします……」


借金は嫌いだけど、仕方がない。


「いや、返さなくていい。飯を作ってくれと言っているだろ?」


本気で家政婦させようと?


「ご飯はいくらでも作りますけど、お口に合う……」

「それじゃ、決まりだ」


『お口に合うかどうかわかりませんよ?』と言いたかったのに、彼は即決した。


私が作れるのなんて、庶民の食事なのに、いいの?
決断力がありすぎる一木さんについていけない。
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