御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「いいから」


それなのに、彼に腕をつかまれ、止められてしまう。
あれ、遅かったから怒ってる?


「すみません」


一応謝ると、彼は首を振りながら口を開く。


「よく似合ってる。だが……」


『似合ってる』と言ってくれた彼の黒目に、自分が映っているのがわかると、たちまち体が熱を帯びてくる。

彼は私の髪に触れ、ひとつに束ねて持ち上げた。


「今度はアップにしろ。蓮川は首のラインがきれいだ。より魅力的だと思うぞ」


こんなに近くでそんなことを言われると、息をするのも忘れてしまいそうになる。

これも、男慣れ、してないからなの?

目を見開いて呆然としていると「どうした?」とバリトンの声で囁かれ、クラクラした。
この人、無駄に色気がプンプンしてる。


「い、いえ。今度は、そう、します……」


しどろもどろになりながら返事をしてうつむくと、「行くぞ」と私の背中を押して促した。
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