強引社長といきなり政略結婚!?

「どこを打ったのかな」

「……お尻を」

「ほほう。ではパンツを下げなさい」

「――はい!?」


今ここで!?

とっさに部屋の中をぐるっと見回した。
男女合わせて七人くらいいる。その中でお尻を出すなんてできっこない。
私の言いたいことに気づいたのか、石井さんは「おお、そうか。そうだよねぇ。みなさん、ちょっと事務室から出て行ってもらえますかね」と人払いをしてくれた。


「石井さん、よろしくお願いします」


朝比奈さんがもう一度念を押す。
石井さんは、それには手をひらひらとさせることで答えた。

他の人の目がなくなったのはいいとして、残る問題はこの石井さんだ。人間相手のお医者様なら抵抗がなくても、獣医という肩書きが邪魔をする。


「お嬢さん、そこにうつ伏せになってお尻をお出しなさい」


もたもたしていると、「早くしなさいな」と急かされてしまった。

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