強引社長といきなり政略結婚!?
「はい、ありがとうございます……」
ひとまず大したことはなさそうだ。よかった。
身支度を整えると、石井さんは外で待っている朝比奈さんやスタッフたちを中へ招き入れた。
「大丈夫だったか?」
ソファに座る私の元へ朝比奈さんが駆け寄る。
「打撲だそうです。すみません、ご心配をおかけしました」
「そうか。よかった」
彼はホッとしたように息を吐き出した。
「石井さん、ありがとうございました」
手を両脇にぴしっと揃え、深く頭を下げる。
「いやなに、大事に至らなくてよかったよかった。馬に油断は禁物だよ、お嬢さん」
「……はい」