強引社長といきなり政略結婚!?
まだ痛いけれど、打撲くらいなんてことはない。
「朝比奈さん、汐里もこう言っていますから。頭を上げてください」
母がそう言うと、彼は「ありがとうございます」と顔を上げた。
「汐里の怪我には慣れていますから。朝もお話ししましたでしょう? 擦り傷、切り傷は当たり前。捻挫や打撲もしょっちゅうで、整形外科のお医者様と顔なじみになるくらいでしたから」
「お母さん! やめてってば!」
まるで男の子みたいで恥ずかしい。
「それに、朝比奈さんも気にしすぎ。本当に平気ですから。もう謝らないでください」
そもそも、原因は私なのだから。
「わかりました」
そこでようやく朝比奈さんに笑顔が戻った。
「あの、藤沢社長は……?」