強引社長といきなり政略結婚!?

席に戻るよう目で彼に強く念じ、毅然とした態度を貫いた。
ナポリタンを一瞥してから、彼がもう一度私のほうへ近づいてくる。

――こ、今度はなに?

身構える私の前で、彼は自分の胸元を探った。


「また来るよ」


そう言って私に紙切れを差し出す。
うっかり受け取ってしまうと、それは名刺だった。

そして、すんなりテーブルへ戻った彼が、ナポリタンを食べ始める。

一身に集まっていた店内の視線は、なにごともなかったかのように四方へばらけた。ただひとり、ゆかりちゃんだけが興奮冷めやらぬ様子で私の袖を引っ張る。


「ちょっと汐里さん、今のいったいなんですか!?」


私のほうこそ聞きたい。
彼女は私から名刺を奪い取った。


「――え!? 【コンラッド開発】の社長!?」


お客さんがいることも忘れて、ゆかりちゃんは大きな声を上げた。

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