強引社長といきなり政略結婚!?

父は、『それならゴルフ場で働いたらいい』と言ってくれたけれど、誰も社長の娘とは一緒に働きたくないだろう。働いてくれている人たちに、仕事以外に余計な気を使わせたくはない。

ただ、父にそう言ったところで『そんなことは構わん』と言われるだろうから、働き口が決まってから『喫茶店がいいの!』と父が納得するまで言い続けた。


「……朝比奈さん?」


急に電話の向こうが静かになってしまった。
切れちゃったのかな。
そう思い耳からスマホを離して電波状況を確認してみたけれど、なんの問題もなさそうだった。


「朝比奈さーん」


遠くにいる人を呼ぶように声を大きくすると、『あぁ、悪い』と彼が謝る。
今、私が言ったことは聞いていなかったのかも。


『汐里、今から行く』

「はい!?」


今からって、今!?
もう夜も九時近い。
お風呂にも入って、すっかり寛ぎモードだ。

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