強引社長といきなり政略結婚!?
優しい孫じゃないか。
でも、ふたりで暮らすにしても持て余しそうな大きさだ。
「大きいお宅ですね」
「汐里の家だってでかいよ」
「ここまでではないですよ」
門を入ってから家の距離だって、うちはもっと短い。家も敷地も、朝比奈さんの家のほうが遥かに大きい印象だった。
車から降りると同時に、玄関からひとり、ふくよかな年配の女性が出てきた。
「おぼっちゃま、おかえりなさいませ」
――“おぼっちゃま”!?
呼び名に面食らっていると、朝比奈さんは「真紀さん、その呼び方はやめてって言ったよね」と彼女に釘を刺す。
彼は、まいったなという様子で頭を掻いた。
どうやら、真紀さんと呼ばれた女性は、この家の家政婦さんのようだ。お腹もお尻も大きいせいか、存在感が半端ない。
「ですが、おぼっちゃまがお小さいうちからお世話させていただいておりますので、今さら呼び名を変えろとおっしゃられても、すっかり頭の衰えたこの真紀ではどうにもこうにも。どうかお見逃し願います」