強引社長といきなり政略結婚!?

そう言って頭を下げながら、彼女が私へと目を向ける。どこの誰だろうかという様子だ。


「こちらは藤沢汐里さん」

「では、例の?」


興奮したように、真紀さんが半歩前へと出る。私の話は朝比奈さんからなにか聞いているみたいだ。


「そう。俺の未来の奥さん」


――“奥さん”って!
隣に立つ朝比奈さんを思わず見上げると、彼は私の肩をそっと引き寄せた。


「まぁそうですか!」


真紀さんが胸の前でパチンと手を叩き、パッと顔を明るくさせる。


「藤沢汐里です」


私が頭を下げると、彼女は「田宮真紀です」と同じく頭を下げた。


「会長は?」


朝比奈さんが真紀さんに尋ねる。

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