強引社長といきなり政略結婚!?

「とりあえず座って」


朝比奈さんに言われて、ベージュ色のレザーソファに腰を下ろした。
バッグからブルーレイを出して、彼に手渡す。
それをデッキにセットし、朝比奈さんが私の隣に座った時だった。部屋のドアがノックされ、そこから真紀さんが入ってきた。
お茶を入れてくれたらしく、トレーにのせたカップからは湯気が立っている。


「コーヒーをお持ちいたしました」


テーブルにカップをふたつ置き、クッキーを入れたボックスもその隣に並べた。


「真紀さん、ありがとう」

「ありがとうございます」


朝比奈さんに続いてお礼を言う。


「真紀さんも、そろそろ部屋のほうで休んで。俺たちのことは構わなくて大丈夫だから」

「はいはい。お邪魔はいたしません」


真紀さんが首をすくめて意味深に微笑むものだから、朝比奈さんと合った目を私は不自然に逸らした。

< 137 / 389 >

この作品をシェア

pagetop