強引社長といきなり政略結婚!?

胸の中でなにかが暴れているような気さえする。
そこでふと思った。それはもしかしたら、朝比奈さんに対する想いなのかもしれない。

私、朝比奈さんのことが好きなんだ。

それを頭で無理に抑え込もうとするから、反発して暴れているのかも。

だとしたら、楽になる方法はひとつ……?

私を見下ろしている朝比奈さんと目を合わせた。
緊張が私に襲いかかる。突っ張っていた腕からゆっくりと力を抜き、自分の胸の上に置いた。

朝比奈さんが目を細めて微笑む。
自分の気持ちを認めたことで楽になるかと思ったのに、それまで以上に胸が苦しい。いつも不意打ちだったキスを待ちわびていた。

彼の顔が徐々に近づいてくる。
唇が触れ合う寸前に目を閉じた。

キスを交わしながら胸の上に置いていた私の手を彼が取り、指を絡めるようにして握る。その手は、私の頭の上でソファに縫い止めるようにされた。

優しく触れるだけのキスで、頭がボーッとしてくる。なにも考えられない。どうしたらいいのかもわからない。

ただ、朝比奈さんの唇にされるがままになっていた。

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